「プロファイリング」
この言葉を聞いたことのある方は、それなりにいらっしゃると考えます。
プロファイリング(profiling)は、英語です。プロフィール(profile)と意味合いを同じくする言葉。
プロフィールは、「その人の性格や姿などの人物像」を意味します。自己紹介文の中には、必ず存在するものです。
そこから転じて、プロファイリングとは「様々な手がかりから、対象の人物像を明確にすること」を指します。
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プロファイリングの目的は、「相手の人物像を明確にすること」ですので、そのバリエーションは多彩。
例えば、「ネットで何を検索し、どんな品物を買っているか」を調べて、顧客の人物像を明確にすることも、立派なプロファイリング。
言ってみれば、顧客の心理傾向を調べる「心理学」の側面と、アンケート調査と同じ「統計学」の両方を含む分野になります。
統計調査である為に、最近話題によく出てくる「ビッグデータ」との相性が良い。
多くのデータから共通点を見つけ、「どんな人が、このサービスをよく利用するのか?」という人物像がハッキリすれば、より利益のあがるサービスを開発・提供することも可能になります。
その典型例は、通販サイト等で「こんな商品もオススメ」と表示される広告。
あれは、プロファイリングの結果、「今、このサイトを見ている人は、こんな商品を買う可能性が高い」という結論を得て、それを基に表示する広告を決めているワケです。
プロファイリングは、結構身近に溢れているもの。
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しかし、「プロファイリング」という言葉を聞いて、多くの方が思い浮かべるのは「犯罪者プロファイリング」でしょう。
詳しく言えば、「殺人などの凄惨な事件が起こった時、現場に残された手がかりから、犯人像を絞り込む作業」のことですね。
犯罪捜査を行う時…
警察官が担当するのは、「被害者周辺の人間関係に関する情報」や「当時の目撃情報」などの聞き込み・収集作業。
鑑識官(科学捜査官)が担当するのは、「現場の写真撮影」「指紋やDNAの採取と分析」などの科学分野。
法医学者は、司法解剖を担当します。遺体の状況を調べ、どんな状況で亡くなったのかを調査します。「亡くなった方の、最後の声を聴く仕事」とも言われますね。
これらに対し、プロファイリング担当者が行うのは、「犯罪者は、何を考えて行動を起こしたのか」という心理分析です。
転じて、
「犯行の様子を見れば、犯人の心理状況や思考回路が、ある程度は分かる」
「そこから考えれば、犯人はこういう身体的特徴を持ち、こういう服装をして、こういう行動様式をとる可能性が高い」
という分析結果を出せます。犯人の人物像を絞り込めるわけです。
犯人の人物像が分かれば、限られた人員でも・効率的な捜査の実施が可能。早期の犯人逮捕に繋がる話です。
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この「犯罪者プロファイリング」を、一躍有名にした書籍があります。当記事では、この本をご紹介します。
タイトルは『FBI心理分析官~異常殺人者たちの素顔に迫る衝撃の手記』です。
(提供:Amazon)
(著:ロバート・K・レスラー、トム・シャットマン/翻訳:相原真理子/早川書房)
『FBI心理分析官~異常殺人者たちの素顔に迫る衝撃の手記』(以下『FBI心理分析官』と表記)は、1994年発表の書籍。
作者の「ロバート・K・レスラー」氏は、元FBI特別捜査官であり、犯罪プロファイリングの第一人者でもありました。
レスラー氏とプロファイリングを有名にしたものとしては、上記『FBI心理分析官』の存在もありますが、大ヒットしたサスペンス映画『羊たちの沈黙』の影響も大きかったと言えます。
『羊たちの沈黙』は、第64回アカデミー賞の主要部門を総なめ。未だに語り継がれる名作中の名作です。
(提供:タワーレコード)
『羊たちの沈黙』の主人公・クラリス(ジョディ・フォスター)は、FBI捜査官の訓練生です。
その主人公クラリスの上司であり、犯罪者の心理分析担当「クロフォード捜査官」のモデルが、『FBI心理分析官』の著者であるレスラー氏…とのこと。
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ただ、『羊たちの沈黙』で描かれるプロファイリングと、『FBI心理分析官』で語られるプロファイリングは、似て非なるもの。
『FBI心理分析官』で扱う話は、実際に起こった・いくつかの事件がベースになっており、リアルで不気味な感じが漂います。
その中身については…次回記事にて。
『FBI心理分析官』の中から、筆者が特に興味を引かれた話について触れていきます。
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(注意:書籍購入・閲覧を考えていらっしゃる方へ)
筆者が所持している『FBI心理分析官』は、ハードカバーの第17版(1994年発行)です。
当時は、今ほど制限がきつくなかったからでしょうか。筆者が持っている書籍には、「遺体の白黒写真」が少々掲載されています。
古い写真で解像度は低め。グロテスクな印象は受けないものですが、苦手な方はご注意ください。
↓↓『FBI心理分析官』書店リンク↓↓