関西電力が、なんとも醜いことになっています。
ご存知の方も多いでしょう。先日から報道されている「高浜原発の所在地である福井県高浜町の助役と、関西電力の上層部との間で、怪しい金品のヤリトリがあった」という話。
www.sankei.com(2019/10/2)
関西電力の首脳陣による釈明会見も行われましたが、内容は酷いものでした。
助役から関西電力側に渡されたものは、「高級スーツの仕立券」「金貨」「小判」「商品券」等々。
「菓子の下に、金貨が仕込んであった」という、時代劇の様な話もアリ。
関西電力側は、「返そうとしたが、相手が怒るので返せなかった」「いつか返そうと思っていた」等、見苦しい言動だらけ。
”小学生の言い訳”と、バッサリ斬るコメンテーターもいました。
加えて、「再発防止策を考えるので、辞任しない」との開き直り。ニュースを聞いた一般人は、唖然とするばかり。
返そうと思っていた…と言うわりには、後日「1着・数十万円するスーツの仕立券を貰っていて、既に使っていた」というニュースも追加されています。
返す気、無いですね。
(参考:贈収賄の「定番」スーツ券なぜ今回も使われた? 関電金品受領 - 毎日新聞)
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この不透明なカネの流れに、怒りの声が噴出。
それはそうです。関西電力は、この10年の間に、何度か電気料金の値上げを行っているからです。
「怪しいカネを貰う余裕があるなら、電気料金を上げるな!」という批判が続々。筆頭株主である大阪市は、株主代表訴訟へ向かっているとのこと。
(参考:関電の金品授受問題で大阪市長、株主代表訴訟の準備進める | MBS 関西のニュース)
この際、徹底的に闇を暴いて、罪に問えるのであれば厳しく追及し、腐った部分を全部そぎ落として欲しいもの。
今後の動きに注視したいところです。
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ところで…。
こういう「世間の大きな怒りを買う事件」が起こった時、必ずと言っていいほどセットで発生するのが、「デマによる炎上」です。
事件とは無関係なのに、なぜか犯人扱いされて批難される。喰らった方はいい迷惑です。酷い場合は、迷惑のレベルを通り越して、刑事事件になる場合もあります。
今回の「関西電力の闇カネ問題」でも、同様のデマ炎上が起こりました。
www.fukuishimbun.co.jp(2019/10/5)
関西電力の役員ら20人が、福井県高浜町の元助役森山栄治氏(故人)から多額の金品を受領していた問題で、森山氏と深い関係にあった建設会社「吉田開発」と同名の福井市にある無関係の不動産会社に、無言電話や「記者会見をしないのか」などの怒りの電話が相次いでいる。
同社は「業務に支障が出ている」と困惑。原発入構に関する書類が誤って届いたこともあり「問い合わせの際はしっかり確認してほしい」と訴えている。
不動産会社は、同市御幸2丁目の「吉田開発」。
吉田守利社長(52)によると、9月29日以降、この問題に関する迷惑電話が約50件あった。
県外からの怒りの電話があったり、元助役の差出人名でメールが届いたりもした。同社はホームページに「福井県大飯郡高浜町の建設会社とは一切無関係です」などとコメントを掲載した。
(https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/947920より。改行・強調等は筆者によるもの)
関西電力に「怪しいカネ」を渡していたのは、高浜町の助役をしていた、森山栄治氏。森山氏は、今年の3月に亡くなっています。
この森山氏が深く関わっていた建築会社が、高浜町にある「吉田開発」という会社。
一方、上記記事で紹介されている「炎上に巻き込まれた、無関係の会社」は、福井市にある不動産会社の「吉田開発」。(https://www.zennichi.net/m/yoshidakaihatsu/#pg_top)
名前は同じですが、所在地や業種が違います。
不動産会社にとっては、超絶迷惑。
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この2つの会社。
業種は似てると言えば似ていますが、所在地は全く違います。直線距離でも、100キロメートル近く離れている。
それなのに、なぜ混同されたのか?
恐らくは、
「Google検索のトップに出てくる会社が、勘違いで炎上を喰らった、不動産業の吉田開発だった為」
でしょう。
ちょっと調べて出てきたものが、「福井県」の会社だった。それだけで思考停止&抗議の電話へ…という流れではないかと推察します。
ほんの少し用心して確かめれば、間違いだと気付くレベルの話。
そういった行為をスルーして、とにかく抗議したい人間。
こんな話は、いくらでもありますし、いつまで経っても無くならない。
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この手の「犯人探しのデマ」で有名なものは、「2017年の、東名高速道路・煽り死傷事件」で発生したものでしょう。
石橋和歩容疑者(現在は被告)が、自分を注意した人の車を執拗に追い回し、高速道路で強制停車させ、それが元で注意した側の人が事故死した事件。
亡くなった方は夫婦であり、車にはお子さんが乗っていました。お子さんの目の前で、両親が事故死したのです。いや、事故死ではなく、殺されたようなもの。
その石橋被告が住んでいる地域に近く・業種が似ており・屋号が同じ「石橋」という理由で、無関係の会社に抗議が殺到。騒ぎになりました。
nlab.itmedia.co.jp(2017/10/18)
デマを鵜呑みにしたユーザーが、ネット上で誹謗中傷を繰り返したり、電話をかけたり等、名誉毀損や業務妨害を連発。
後にデマだと報じられ、妨害は収束しましたが…デマに踊らされた人々は、裁判の場に引きずり出されています。
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最近の事例では…「茨城県守谷市の常磐自動車道で起きた、煽り運転&暴行事件」の話があります。
往生際の悪い姿を見せた宮崎文夫容疑者(43)の同乗者である「喜本奈津子」氏(宮崎容疑者が逮捕される時に、「キモトさ~ん!」と名前を呼ばれまくっていた女性)のこと、覚えていますか?
あのキモトさんと無関係なのに、妙な濡れ衣を着せられた女性がいました。
nlab.itmedia.co.jp(2019/8/19)
濡れ衣を着せられた理由は、「容疑者に、インスタ上でフォローされている」「インスタにアップされている自撮り画像が、何となくニュースの映像に似ている」という、決定的でも何でもないフワッとした情報。
この程度でも、犯人扱いされて炎上し、生活に支障が出るレベルで騒ぎになる。
こういった事例は、いくらでも出てきます。
情報の裏取りを忘れ、目に付いたら「これが真実!」と短絡的に考え、良し悪しを判断する前に行動する人、多いですね。
そういう行動は、下手をすると犯罪行為。社会悪を批難するつもりが、自分が社会悪になった…というオチになりかねません。
行動は、慎重に。
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最後に。
今回の「関西電力の闇カネ問題」は、まだ話が始まったばかり。
関西電力側は、「自分達は被害者だ」という立場で通すつもりでいる様子ですが、どこまで通用するかは疑問です。
(「電力」のイメージ画像 https://www.pakutaso.com/20110917268post-669.html)
関西電力を取り巻く状況は、かなり厳しいもの。
経済産業省や大阪市を始めとする公的機関から、厳しい対応を迫られています。
散々CMを打って、イメージ戦略を仕掛けたマスコミからも、フルボッコ状態。
一般のお客さんからの反応は…言わずもがな。
報道では殆ど出ていませんが、関西電力に対し、かなりの抗議電話が行っていると思われます。
メディアは、変な忖度をして、報道していないんでしょうか?
無関係の「不動産会社である吉田開発」に対しても、抗議電話が行っている状況を見るに、関西電力には数十倍~数百倍の抗議が行っていたとしても、不思議ではない。
その抗議に関する対応コストは、電気代に上乗せしないで頂きたい。
闇のカネに深く関わった連中に、全額負担させないとおかしい。
違いますか?
--------------(記事了)--------------
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