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【研究の話】基礎を固めないままでは、立派な成績は出せないのに…

先日、驚異の生命力を持つ生物「クマムシ」について、記事を書かせて頂きました。

 

tenamaka26.hatenablog.com

 

クマムシは、体長1ミリメートル程度の小さな生き物ですが、耐久力が半端無い超生命体です。

生物でありながら、100℃の高温・絶対零度・超高圧(数千気圧)・真空・人間なら即死レベルの放射線…等々に耐える、物凄い存在。

余りの凄さに、オカルトファンの間から「クマムシって、実はエイリアンなんじゃ?」という噂すら出てきたことがあります。

 

しかし、「耐久力以外に目立つ部分が少なく、かなり地味な生き物」という印象もあるのでしょう。専門的に研究している学者さんは、あまり多くない。

そんな数少ない「クマムシ専門家」の方が、インタビュー記事に答えていた…という所で、前回記事が終わっていました。

今回は、その続きになります。

 

前回記事の末尾で、

クマムシ研究家の発した言葉が、今の日本の弱点を示している」

「早く何とかしないと、日本は弱る一方だ」

という話を少し述べました。

その詳細について、当記事で掘り下げていきます。

 

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先ずは、前回のおさらい。

クマムシ研究家が述べたこと」について、もう一度見てみましょう。

 

withnews.jp(2019/9/10)

クマムシの研究は難しいことじゃないかもしれないけど、誰にでもできることでもない。小さすぎるので設備がないと極められません。やりたいと思う人がやらなければと思います」

 

それでも、こういったクマムシの研究は、社会に直接、関係しにくい分野です。クマムシなんて得体の知れない小さな虫が何の役に立つんだ、と考えたことはある」と明かします。

 

そんな中、たどり着いた答えは「面白い、だけでいいんじゃないですかね」。

「お金がものすごく動く分野であれば違うかもしれませんが、『必ず社会の役に立つ』『こういういいことがある』と言うこと自体がちょっと胡散臭いですよね」

 (https://withnews.jp/article/f0190910001qq000000000000000W06910101qq000019778Aより。改行・強調等は筆者によるもの)

 

上記は、クマムシ研究をされている学者「鈴木忠(すずき・あつし)」先生へのインタビュー記事の抜粋です。

この指摘が、今の日本に大きく欠けている点だと考えます。科学分野に限ったことではなく、現代の日本社会のあらゆる所に存在する問題。

早く何とかしないと、日本は弱る一方でしょう。

 

その肝は、引用中程の強調部分と、末尾の朱入れ部分ですね。

クマムシなんて得体の知れない小さな虫が何の役に立つんだ、と考えたことはある。

◆『必ず社会の役に立つ』『こういういいことがある』という主張を、研究段階で言うことそのものが、胡散臭い。

この部分が、今の日本に大きく欠けています。

 

 これを筆者なりに表現すると、

「今の日本社会は、役に立つ・金になると分かりきったモノにしか、エネルギーを注がせない」

こうなります。

 

要は「即戦力以外は、全部無駄である」という考えが多い…ということ。

 

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研究とは、「知的好奇心」から始まるものです。

なぜだろう…という疑問が出て、その解決を求めて活動するのが「研究」です。

「役立つ・役に立たない」「売れる・売れない」ということは、あまり考えません。

その為、研究結果が二束三文だったり、「これは無理だと分かった」という”一見すると非生産的な結論”だったりします。

 

しかし、仮に「非生産的な結論」だったとしても、「結論を得られた」と喜ぶ余裕が、今の日本社会には無い。

こうすればうまくいかない…と分かったなら、それで一歩前進したワケです。得られた情報を活かして、次に繋げればいい。

今すぐは役に立たなくても、いつか役に立つかも知れない。そうやって研究を重ねていくことが重要です。

 

「役立つ」「経済的に成功する」「売れることを追及する」という動機から始まり、とにかく売れるものが正義…と考えることは、研究ではなく「商品開発」です。

それは企業が営利目的でやること。学問の場でやることではない。

 

そして、商品開発ばかりでは、いつか社会全体が息切れして滅びの道へ向かいます。

今の日本が、まさにそれ。

 

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上記の様な話は、ノーベル賞受賞者も言っています。

一例として、2016年にノーベル医学・生理学賞を受賞された「大隅良典(おおすみ・よしのり)」氏と、2018年にノーベル医学・生理学賞を受賞された「本庶佑(ほんじょ・たすく)」氏の発言に関する記事を紹介します。

 

www.asahi.com(2019/5/28)

政府は28日、基礎研究の重要性が一層高まっているとする、2019年版の科学技術白書を閣議決定した。

日本の科学技術の基盤的な力が国際的に低下していることを挙げ、ノーベル賞受賞者らが繰り返し基礎研究への危機感を訴えていることを紹介。

「(すぐには実用に結びつかないような)様々な分野を長期的に育んでいくことが重要だ」とした。

 

白書によると、日本の論文数は04~06年は米国に次ぐ2位だったが、14~16年は中国とドイツに抜かれて4位になった。

特に、引用される回数が上位10%に入る重要な論文の数は4位から9位に落ちている。

 

白書は、ノーベル賞を受けた京都大の本庶佑特別教授が「応用だけでは大きな問題が生じる」東京工業大大隅良典栄誉教授が応用研究が重視されている現状を「とても危惧している」と発言していることを引用。

真理の探求や基本原理の解明を目指す基礎研究は、長期的な社会課題の解決や新産業の創出につながるとし、質の高い研究人材の確保や継続的な挑戦を支える研究資金の改革などを進めるとした。(合田禄)

https://www.asahi.com/articles/ASM5S462HM5SULBJ006.html

 

基礎研究とは、ものごとの仕組みを調べて、理解すること。

応用研究とは、基礎研究で得られた情報を基に、何ができるか考えること。

 

「今の日本は、応用ばっかりで基礎が軽視されている」と、ノーベル賞受賞者が口を揃えて言っています。

商売になりそうな「応用研究」ばかりでは、やがて潰れますよ…と警告しているのです。

この言葉を、よくよく考えた方がいい。

 

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ここで、話は「クマムシ」に戻ります。

冒頭で引用した、クマムシ研究者の鈴木氏の言葉。

 

クマムシなんて得体の知れない小さな虫が何の役に立つんだ、と考えたことはある」

「お金がものすごく動く分野であれば違うかもしれませんが、『必ず社会の役に立つ』『こういういいことがある』と言うこと自体がちょっと胡散臭いですよね」

 

 これも、基礎研究と応用研究の関係性を述べたものでしょう。

 

クマムシの存在が「人間の生活において、何の役に立つのか?」は、ハッキリ分かっていません。

しかし、「何の役に立つのか」がハッキリ分かるのは、後になってからです。

どんな性質があるのかを調べ、出た結果を見て「何に使えるだろう」と考えるのが普通。

「役に立つ研究だけをやれ」と言う方が、傲慢です。

 

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たまにテレビのインタビューで、レポーターが「その研究、何の役に立つんですか?」と、臆面も無く尋ねる場面があります。

ああいう場面、見ているとイラッとします。

基礎研究は、そういう基準で判断してはいけないものです。

スポーツで言えば、「筋トレ」「ランニング」みたいなものですから。

 

「筋トレ」や「ランニング」だけで、試合に勝てるわけではありません。見た目が派手な練習でもありません。

しかし、そういった基礎トレーニングを馬鹿にしていれば、世界レベルでは通用しません。早々にメッキが剥がれて、惨敗するでしょう。

 

基礎をしっかり固めた後に、初めて目に見える・立派な成績が出せるのです。研究も、それと同じこと。

このことを、国家の上層にいる人々が理解しているかどうかで、その国の運命は大きく変わります。

 

今の日本は…?

 

 

--------------(記事了)--------------

 

 

【参考書籍】

クマムシ博士の「最強生物」学講座』

【au Wowma!】

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【BOOK☆WALKER】 (試し読みアリ)

【ebook-japan】 (試し読みアリ)

 

【e-hon】  

【Neowing】 

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