先日、とあるアプリが話題になりました。
そのアプリは、「AI(エーアイ。人工知能)を駆使し、簡単に画像加工ができるアプリ」という事で、リリース直後はちょっとした話題になりました。
アプリ配布開始から、5日後の事。
このアプリが、とてつもない大騒ぎのネタとして大炎上。リリース後1週間も経たないうちに、当該アプリは配布中止になりました。
なぜ、そうなったのか?
それは、アプリの名前を見れば分かります。
当該アプリの名前は「DeepNude(ディープヌード)」といいます。
要は、お手軽に裸画像が合成できてしまうアプリだったのです。
このアプリを使えば、「服を着ている、ごく普通の人物が写った画像」が1枚あれば、それを材料にヌード画像を合成できてしまいます。
被写体が有名人であろうが、一般人であろうが、関係なく。
www.newsweekjapan.jp(2019/6/28)
上記記事の内容をザックリ記述すると、以下の様なものになります。
■裸画像合成アプリ「DeepNude」を開発したのは、東欧・エストニアに拠点を置く企業。エストニアはバルト三国のひとつで、ロシアやフィンランドの隣に位置する。
■この企業は、元々「AIによる画像処理サービス」を扱っている会社。「DeepNude」を提供する前は、モノクロ写真をカラー写真に変換するサービスを行っていた。
■「DeepNude」は、AIに1万枚以上の”女性の裸画像”を学習させ、そこから得られたデータを元に、被写体の裸を推定し・画像を加工する。
■基本的に、どんな画像も加工可能。
■「DeepNude」には、無料版と有料版(価格・50ドル)があり、裸画像合成機能は有料版でのみ使える機能。
■Windows等のPC環境があれば、誰でも簡単にインストール可能。ヌード画像合成も、ワンクリックで完了する手軽さ。
■加工後の画像には、自動的に「Fake(嘘、ニセモノ)」という文字が入るが、その文字を消す事も簡単。消した後は、合成かどうかの判別が困難になる場合も。
■開発者は、ほんのジョーク程度にしか考えていなかったが、このアプリを求めてアクセスが殺到。会社のサーバーがダウンした。
■事態の深刻さに気付いた開発企業は、アプリをストアから削除。それ以来、新規でアプリ配布は行われていない。が、既に配布してしまったアプリの中には、まだ使える状態のモノがあると思われる。
■また、「DeepNude」と同じ機能を持つアプリは、今後も出現する可能性・大。今から対策や規制を考えておく必要がある。
いやはや、何とも凄い話です。AIを、こんな方向で使うとは…。
----------------------
このアプリ「DeepNude」に関し、タレントの伊集院光氏は、深夜ラジオ番組「深夜のバカ力(ばかぢから)」にて、かなりエキサイトした口調で語っていました。
「遥か昔から存在する男の妄想が、ついに現実のものとなった!」
「これ、”服が透けるメガネ”みたいなモンじゃん!」
伊集院氏の芸風からすれば、そういう話になるのでしょう。一人で悶々と妄想しているウチは、まだ大丈夫なのかも知れませんね。
しかし、問題は「偽ヌード画像を、誰でも作成可能」であり、「その偽ヌード画像を使って、嫌がらせが出来る」という点です。
犯罪ツールとして使われる可能性がある以上、安易に配っていいモノではありません。
配布中止は、賢明な判断でしょう。
----------------------
ところで、伊集院氏の言った「服が透けるメガネ」ですが…昔から「妄想の定番ネタ」だったと仰っていますね。
「いつからそうなったのだろう?」と考えた筆者は、いろいろと調査してみました。
その結果、筆者が確認できた範囲で最古のものは…。
超有名漫画家・鳥山明氏が描いた『Dr.スランプ』(ドクター・スランプ)に出てきたメガネです。
(提供:Amazon)
『Dr.スランプ』は、「週刊少年ジャンプ」誌上にて、1980年から連載されていた漫画。アニメにもなった人気作です。
連載は1984年に終わりましたが、その後も『ちょっとだけかえってきた Dr.SLUMP』という別作家による作品(鳥山氏は原作&監修のみ)が出版される等、長らく愛される人気漫画です。
『Dr.スランプ』の主要キャラは、後に連載開始した『ドラゴンボール』にもゲスト出演していますね。
----------------------
『Dr.スランプ』は、ペンギン村に住む天才発明家「則巻千兵衛(のりまき・せんべえ)」と、千兵衛が作った女の子のアンドロイド(人間型ロボット)である「則巻アラレ」の活躍を中心にしたギャグ漫画。
この千兵衛さん、発明家としての腕は良いのですが、かなりのスケベ。そのスケベパワーを原動力に、驚異の発明品を作ります。
それが、第3話で登場する「非生命体透過メガネ」です。
このメガネは、文字通り「生き物しか見えない。それ以外は透けて見える」という機能を持つメガネ。
服は生命体ではないので、透けて見えます。要は、町行く人が全員裸に見えるワケです。千兵衛さんの妄想を形にした、驚異の発明品。
このメガネが世に出たのは、1980年。2019年から見れば、39年前の話ですね。
39年間かかって、漫画に科学技術が追いついたという話。それが「DeepNude」の出現という事になります。
----------------------
「人間が想像できる事は、人間の手で必ず実現できる」
とある有名SF作家が言ったとされる言葉です。
実際、その通りになっている事例は多い。
スマホやパソコンは、その最たる例。
全自動運転車、空飛ぶ車、再生医療…昔は夢物語に過ぎなかったものが、次々と現実化しています。
しかし、「実現可能かどうか」という事と、「実現しても問題ないか」というのは、また別の話。
今回の「DeepNude」騒動は、その典型例と言えるでしょう。
-----------(記事了)-----------
↓↓書店リンク↓↓
『Dr.スランプ』
【楽天ブックス/楽天kobo】(試し読みアリ)
【Amebaマンガ】(試し読みアリ)
【Book Live!】(試し読みアリ)
【BOOK☆WALKER】(試し読みアリ)
【ebook-japan】 (試し読みアリ)
【Renta!】(試し読みアリ)
【コミックシーモア】(試し読みアリ)
【総合書店 honto】 (試し読みアリ)
【ひかりTVブック】 (試し読みアリ)