ネットが発達した昨今。数多くの記事や情報が、次々と生まれています。
時事ニュース、エンタメ情報、イベント告知、天気予報…などなど。
そういった記事・情報を執筆する人や会社も色々。
同じ話を特集しても、媒体によって分析結果は様々。
多種多様な記事の中から、自分に合った情報を選ばなければならないので、読者側も大変です。
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そんな多くの記事の中で、「閲覧されやすく、商売として成功しやすいのは何か?」と問われれば…。
それは、恐らく「医療系記事」でしょうね。
「健康でありたい」「病気になりたくない」という思いは、誰にでもあります。皆が興味を持ち易いジャンルです。
加えて「健康である為に、コストを惜しまない人々」というものは、いつの世でも存在しますし、その数も膨大。多人数向けの商売は、成功する確率も高くなります。
しかし、そういう世界だからこそ、闇もまた多いもの。
医療情報は玉石混交であり、何が正しくて・何が間違っているのか、判断が難しい分野でもあります。
その事に対し、新たな警鐘が。
medical.jiji.com(2019/5/22)
あるブログが昨年、物議を醸しました。ブログの運営者は内科医を名乗る人物。医師の視点から、病気を予防するために必要な食事などを紹介していたほか、TwitterやFacebookなどのSNSを上手に利用し、病気と食事に関する情報を発信していました。
ところが、発信する内容に医学的な誤りが多いことや、特定の健康食品の推奨が妙に多いことを疑問視した多くの医師が、ネット上で注意喚起を始めました。このことがネット上に広く拡散し、多くの人が知るところとなりました。
すると、その運営者はSNSのアカウントを削除、ブログも閉鎖しました。また、自分が医師だと詐称していたこと、特定の健康食品購入に誘導して広告収入を得るのが目的だったと公表しました。
本人は取材に対し「医師が栄養について説明すれば、ビジネス上のチャンスがあると考えた」と告白し、購入した方には説明や補償をする考えを示しました。
(https://medical.jiji.com/topics/1161より。改行・朱入れ等は筆者によるもの)
医師ではない者が、「私は医者だから、価値ある医療情報を教えます」として、SNS等で情報拡散。
目的は、「健康食品を買わせる為」だったとのこと。
上記記事には詳しく書いてありませんが、医師法違反や薬機法違反の疑いアリ。加えて、詐欺に問われるかも知れない話です。警察が動いた可能性はありますね。
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こういった「インチキ医療情報」の話は、数限りなくあります。
近年最も有名な話は、球団まで持つ大企業「DeNA(ディー・エヌ・エー)」が運営していたインチキサイト「WELQ(ウェルク)」騒動でしょう。
あの有名企業「DeNA」が運営する医療情報サイト「WELQ」。
綺麗なレイアウトに、読者の目を引く奇抜な内容。
「IT関連の有名企業が運営するサイトだから、間違いない」と思う人が続出し、アクセス数が爆発的な伸びを示しましたが…。
掲載してある医療情報が怪しいのは勿論、他者の著作権を守る気があるのか怪しい…という所まで、奇妙な記述が多数。
トドメの一撃に「肩こりの原因は、幽霊である」との医療記事を掲載。学研の『ムー』が好みそうなオカルト記事でしょ!…という突っ込みが各方面から出て炎上。
結果、DeNAは非を認めて謝罪。現在も「WELQ」の残骸(https://welq.jp/)が残っています。
なぜこんな事になったのか…というと、
「医療記事は、人の目を引く」
↓
「正確な医療記事を書くには、人材やデータを揃えねばならない。大きなコストがかかる」
↓
「しかし、とにかく大儲けしたいから、コストカット優先。データや画像は他から丸パクリで、執筆者も素人バイトでいい」
↓
「正確性は後回し。とにかく記事を乱発して、アクセス数を稼げ。そうすれば広告費が取れる」
こういう思考に陥ったからです。結局は金儲け。
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あのDeNAですら、この始末です。どこが、何をしでかすか分かりません。
が、医療情報は気になるもの。つい検索してしまう…というのも、理解できる話です。
そこで、「医療記事を見る時に、押さえるべきポイント」を、提案させて頂きます。
そのポイントは、とても沢山あるのですが…。この記事では、簡単なものを・ひとつだけ紹介します。
それは「信頼度の高いネタ元を、複数見つけておく」というもの。
(イメージ画像 http://www.ashinari.com/2013/02/06-376095.php?category=393)
医療記事に限った話ではありませんが、おかしな情報を鵜呑みにする人は、「見たものを・疑う事無く・ひたすら信じ込む」という傾向が強い。
「コレを食べるだけで、ガンが治った!」
「この器具を身に付けるだけで、3日で10kg痩せた!」
こういう刺激的なキャッチコピーだけを見て、内容を信じる・信じないを決めていませんか?
その考えは、とても危険です。ちゃんと裏取り(確認作業)をしなければなりません。
裏取り作業を、本格的に行うのは大変です。医療記事の場合は特にそうです。
正確な医療知識は勿論、統計や数値分析手法の理解、果ては「検証実験」まで要求されるからです。一般人には、恐らく無理。医療関係者でも難しい場合があります。
そこで、普段から「この医者は信用できる」「このサイトは信頼できる」というシッカリとした情報源を確保し、イザという時には頼れる様に準備しておくのです。
一番信頼できるのは、生身の医者です。
「サイト」や「新聞」は、あくまで”情報源”。何かあった時に、実際に治療してくれるのは人です。先ず確保すべきは、正確な治療技術や知識を持った、本物の医者との関係です。
ただ、医者は概ね多忙。特定の患者の質問に答えるばかりでは、仕事が止まってしまいます。そこで、次善の策として「病院が運営するサイト」や「厚生労働省が運営するサイト」をブックマークしておくのがよろしいかと。
ブックマークの際は、「実在している病院のサイトか」「本当に厚労省の関わりがあるか」を、時間をかけて確認しなければなりません。冒頭に紹介した記事にもあった様に、「偽医師」が混じっていた事件があるからです。
「サイト運営者が怪しくないか」を確認するには、時間をかけるしかありません。
サイト運営者の不祥事が出ている、過去の新聞記事は無いか?
サイトのURL(アドレス)は、正規のものか?
サイトの内容に関し、疑惑や検証が多発していないか?
…等々、チェックする箇所は多いもの。そのチェックを潜り抜け、「ここは信頼度が高い」と判断したサイトを、2つ以上は確保しましょう。
そのサイトも、定期的に正確性をチェックしましょう。いつまでも正確とは限りません。
最もやってはいけないのが、「クチコミサイト」「知恵袋系サイト」を主な情報源として利用すること。それらは、ゴシップやサクラが混じっている可能性が高い。誰が書いているかも分からないページが大半。信頼性は著しく低い。
もし使うとしても、「キーワードを拾う」程度で止めておいた方が無難です。「知恵袋サイトに書いてある言葉が分からない。ちゃんとしたサイトで、言葉の意味を調べよう」くらいで。
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信頼度を高めるには、普段からの備えが必要。何も無い時に、じっくり時間をかけ、準備しておくことが重要です。
これは、医療情報に限った話ではありません。全ての情報に対して言えるもの。
確認作業を繰り返すことで、情報源の質が高まり、変な情報を鵜呑みにし難くなります。
大変ですが、挑む価値はありますよ。
--------------(記事了)--------------
【参考書籍 書店リンク】
『健康を食い物にするメディアたち ネット時代の医療情報との付き合い方』
【Book Live!】
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【BOOK☆WALKER】
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【e-hon】 (試し読みアリ)