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「報道」と「娯楽」の闇鍋

どの地方でもそうですが、いわゆる「情報バラエティ」系の番組は、各地域に根差した放送内容になっていると思います。

特に「夕方の情報番組」では顕著。

 

私、関西人です。その為、関西発信の情報番組を、よく視聴します。

その中に、「かんさい情報ネットten.(てん)」という番組があります。

www.ytv.co.jp(2019/5/12閲覧)

 

番組内容は、典型的な情報バラエティ。ニュース、お天気、地域のお店探訪…等々、特に珍しくない内容。

 

ただ、先日の内容は違いました。関西だけでなく、全国的な騒ぎになっています。

良くない意味で。

nlab.itmedia.co.jp(2019/5/11)

 

騒ぎになっているのは、2019年5月10日の放送内容です。番組内の特集コーナー「迷ってナンボ」が、炎上しています。

このコーナーは、いわゆる「街ブラ系」の企画。芸能人がレポーターとして街中を探索&話題を提供するという、割とありがちな形態。

 

この日の話題は「常連のお客さんがいるが、見た目で性別が判断できない。調べてくれ」というもの。

その「常連さん」は、見た目は女性的ですが、声は何となく男性っぽい方。

本人に直接尋ねたところ、男性と判明。「悩みが解決した!」という結末でコーナーが終了。

 

ところが、このVTRを見た直後、同番組内で激怒した出演者がいました。

その方は、作家の「若一光司(わかいち こうじ)」氏です。

 このVTRに若一氏が激怒。「あのね、男性か女性かという聞き方、許しがたい人権感覚の欠如ですね。個人のセクシャリティにそういう形で踏み込むべきじゃないです」とバッサリ。中谷しのぶアナウンサーや澤口実歩アナ、小島康裕解説デスク、ライセンス・藤原一裕菊間千乃弁護士がいたが、誰も一言も発せないままだ。

 

 若一氏は「こんなもんよく平気で放送できるね。報道番組として、どういう感覚ですか。ちゃんと考えろよ」と語気を強めた。中谷アナが「皆さんの悩みを聞きながらということですから…」とフォローしようとしたが、それを遮り、「たとえご本人がテレビに出ることを了解しているとしても、個人のセクシャリティにそういうアプローチをすること自体が人権感覚、人権意識にもとります」と、憤まんやるかたないようだった。

(引用元:https://www.daily.co.jp/gossip/2019/05/10/0012318831.shtml 2019/5/10付)

若一さんの姿は、何度かテレビで拝見してますが…。「ニコニコ顔の、気のいいオッチャン」という印象しかなく、激怒するのは珍しい。

それだけ、この企画が「若一氏の信念を逆撫でする内容」だったのでしょう。

ハッキリ言って、放送事故。

 

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ネットでも炎上騒ぎになりました。

この番組は、公式ツイッターアカウントを持っているのですが、若一氏の激怒騒ぎにはダンマリ。それがまた炎上を生み…のスパイラルに。

「放送したテレビ局が、問題を認め謝罪した」という記事が出たのは、放送から2日後の事でした。

www.asahi.com(2019/5/12)

 

テレビ局が謝罪したという事は、「不適切な内容だったと認めた」という事。

そうなると、続いて「どこが不適切であり、なぜ放送したのか?」という所の追及が始まりそうです。

「ten」の内部で特集を組むのか、同じ局の違う番組で分析するのか、それともこのままスルーなのか…。

いずれにせよ、このまま「無かったこと」にするのはマズイですね。先々ではなく、今の対応が必要。何もしなければ”揉み消した”と捉えられ、何年経っても「読売テレビの不祥事」としてネットに残りますので。

 

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若一氏が怒った理由は、LGBT等の「セクシャルマイノリティ性的少数者)」に対する配慮の問題です。

 

そもそも、性的少数者がL(レズビアン)・G(ゲイ)・B(バイセクシャル)・T(トランスセクシャル)の4つだけでもない。

Tが「トランスセクシャル」なのか「トランスジェンダー」なのかも、世間一般の認識がハッキリしているとは…?

 

性的少数者の話は、まだまだ議論の浅いもの。考えるべき・やるべき事が多い。「考えるべき問題」として認識されたのも、ここ20年前後の話でしょうか。完全解決した!…とは、到底言えない、微妙で敏感な話。

それを「面白いネタ」として扱われた事が、若一氏を激怒させたんでしょうね。

 

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同じ様な事が、他番組でもありました。

2017年の「とんねるずのみなさんのおかげでした 30周年スペシャル」で起きた、保毛尾田保毛男(ほもおだ ほもお)」の話。

とんねるず石橋貴明氏が扮する「保毛尾田保毛男」が、「”ホモ”という、同性愛者への蔑視なのでは?」と批判され、フジテレビが謝罪する羽目に。

 

保毛尾田保毛男」が初登場したのは、平成初期だと記憶しています。

それから30年ほどが過ぎた現在。当時はネタで済んでいたものが、今は違う…という話は多いもの。今回の「迷ってナンボ」も、それと同じ流れに見えます。

 

製作側の認識が、アップデートできていない…という事ですかね。

 

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若一氏の仰る事に、正面から反論するのは難しいですし、私はやりたくありません。

なぜなら「時代が変わったというのは、その通り」と考えるからです。昔はOKとされたものでも、いつまでも同じとは限らない。

 

ただ1点、若一氏の主張に疑問を持ったところがあります。

それは「報道番組で、性的少数者に配慮しないとは、おかしいでしょ」というニュアンス。

 

「ten」の様な情報番組は、報道番組ではありません。「報道番組風の、バラエティ番組」です。

純粋な意味の報道番組は、ほぼ絶滅したと考えられます。日没後の世界と同じ様に、その光が消えています。

 

f:id:tenamaka26:20190512182209j:plain

(イメージ画像 https://www.pakutaso.com/20150209036post-5151.html

 

報道は、できるだけ中立性を保った状態で、世間に情報を伝えるもの。

営利性・偏りは排除するのが望ましい。

 

しかし、昨今の情報番組はどうですか?

ニュースも流しますが、それは番組の一部。多くが「お店紹介」「イベント紹介」「商品紹介」など、広告的な内容ばかり。

ステマステルスマーケティング)みたいなもんです。営利追及しまくり。

まあ、主体が「テレビ局などの営利企業」なので、仕方ないと言えばそれまでなんですが…。

 

「情報番組」ではなく「ニュース」と名乗る番組でも同じ。その局で制作した映画の宣伝やイベント情報などを、ニュースに混ぜて流すところ、めちゃくちゃ多い。

あのNHKですら、「朝の連続ドラマで御馴染みの~」という話を流しています。朝の連続ドラマって、NHKの娯楽番組です。報道ではなく、局の宣伝。

 

ネタの選出からしてそんな感じですが、演出もおかしい。

様々な番組で「ニュースにBGMを付ける」という演出を見ます。音楽を用いれば、情報に対する印象が大きく変わります。「視聴者を、うまく誘導してやろう」という考えがミエミエ。

 

情報番組を見る時は、「用心して見ないと駄目。何が胡散臭いか分からない」と思って見るしかないのです。

最近、そんな見方をする人々が増えています。主にはネットの功績。

変な情報を流すと、SNSを中心に炎上しますからね。この「ten」に関する話も、まさにそれ。

 

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そもそも、テレビは「仕込み」の上に成り立っていると考えた方がいい。

ガチで勝負に出ているのは、「有名プロスポーツの生中継」くらいだと思った方がいいのかも知れません。

 

視聴者の目も肥えてきて、テレビ業界の人は苦労なさっていることでしょう。

ただ、それも時代の流れ。流れにうまく乗った者が生き残る。世の常です。

その流れを、自ら作り出せば楽なのでしょうが…。

 

一般視聴者からの監視が激増し、情報集積・情報拡散・分析が容易になったネット社会では、昔の様にはいかないのでしょう。

 

 

【2019/5/14 追記】

昨日(5/13)、同番組内で、公式に謝罪がありました。

金曜日に問題が起こり、土日は放送がなく、週が明けて直ぐに謝罪に出るという対応は、非常に上手だと考えます。

「沈黙のままズルズルと引き伸ばして、揉み消せないと思ってから謝罪」という悪手をする会社、多いですから。

読売テレビ「ten.」の一部コーナー放送休止を発表 「人権に関して強く意識すべき放送局である当社がこのような事態を招いた」と謝罪 - ねとらぼ