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どっち見てるの? ~大津事故の、保育園会見より~

昨日発生した、大津の交通事故。

一夜明けて、詳細が分かってきました。

 

「衝突音で事故に気づいた」ブレーキ形跡なく 園児死亡事故 : 京都新聞

大津市で8日に車が保育園児の列に突っ込み園児ら16人が死傷した事故で、右折中に対向車と衝突した乗用車の女(52)=自動車運転処罰法違反(過失傷害)で逮捕=は、衝突まで対向車の存在に気づいていなかった可能性が高いことが、大津署への取材で9日分かった。

同署は、女が前方を確認しないまま右折したとみて、ドライブレコーダーの映像などから裏付けを進める。

https://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20190509000132(2019/5/9 朱入れ等は筆者によるもの)

 

交差点を右折しようとした車が、直進してきた別の車に気付かず、無理に曲がろうとして衝突。

衝突の勢いで、直進車が歩道に突っ込み、園児たちを轢いた。

 

…現在のところ、上記の様な状況だったそうです。

 

当初は、右折車と直進車・双方の運転手が現行犯逮捕されていましたが、事故の詳細がある程度判明した後に、直進車の運転手は釈放されました。

「前方不注意のまま、右折した車の方が悪い」との判断。右折者の運転手は、今も拘束されています。

 

直進車を運転手していた方は、ある意味で被害者。過失ゼロとは断言できませんが、前方不注意&右折車に比べて、過失の割合は低い。

その状況に加え、園児を轢いたのは直進車です。過失割合の低い方が、死傷者に近い位置に来てしまった。酷い不運。

被害者本人・関係者の事後ケアも重要ですが、加害者側にも何かしらのケアが必要です。

 

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さて…ここからが当記事の本題。

昨日の「保育園側の記者会見」で感じた、強烈な違和感についての話です。

 

私は、夕方のニュース内での生中継映像を見ました。

記者会見の場で、保育園の園長先生が号泣していて、見ているこちらも貰い泣き。

号泣するのは当然だと思います。可愛い園児が、突然に亡くなったのですから。ショックで頭が回らないという事は、自然な事でしょう。

 

その園長先生の姿とは対照的だったのが、記者会見の場にいたマスコミ各社。

泣いている園長先生を指名して質問し、泣き声が大きくなった瞬間に激増するシャッター音とフラッシュ。

保育園の関係者は、見世物ではありません。被害者側です。

 

生中継ではよく分からなかったのですが、後で「記者が、どんな質問をしていたのか?」について見てみると、とても褒められた内容とは思えなかった。

彼らは「当時の状況を聞き出す」という仕事をしているので、ある程度は仕方ないのでしょうが、誘導尋問みたいな質問がありました。

「用意している結論に持っていくには、どういう質問をすればよいか」という意図が見え隠れする、そんな質問内容がチラホラ。

 

被害者側に配慮していない人間が、あの会見の場に存在していました。私は、そう考えます。

私と同じ感想を持った方も多く、ツイッターは大荒れ。マスコミ不祥事を揶揄する「マスゴミ」というハッシュタグが急上昇。質問した記者が所属する報道機関に、名指しで抗議が殺到。

事件の関係者ではなく、外野で炎上騒ぎが発生した形に。

 

f:id:tenamaka26:20190509223009j:plain

(イメージ画像 http://www.ashinari.com/2007/12/04-003587.php?category=6

 

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同様の違和感は、視聴者だけではなく、著名人の方にも芽生えた様子。

最も早い段階で発信されたのは、俳優のつるの剛士さんでした。

nlab.itmedia.co.jp(2019/5/9)

会見を見ていたつるのさんも、「悲しみの真っ只中の記者からの質問攻め、見てられない」と胸中をツイート。約2時間後には、「お庭で遊べば近隣から"うるさい"と言われ、お散歩すれば"危ない"からと自粛…?」と保育園を巡る問題を提起

https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1905/09/news097.html2019/5/9)

 

同様の意見は、各局の情報番組でも噴出。

大半の意見は「保育園に落ち度は無い」「記者会見の様子に違和感アリ」というものでした。

坂上忍、園長会見の報道陣に怒り「非常に不快」- 芸能社会 - SANSPO.COM(サンスポ)

保育園側の過失「まっっったくありません」大津事故、専門家&加藤浩次のやりとりに「ホッとした」: J-CASTニュース

立川志らく、大津の園児死傷事故に「保育園に落ち度はない。悪いのは運転手」: スポーツ報知

(上記3リンクは、全て2019/5/9付けの記事)

 

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ここで、ふと思い出しました。

とある新聞の論説委員を担当された方が、関西ローカルのテレビ番組で仰っていた言葉を。

 

「今の記者は、記事を見てくれるであろう、読者や視聴者の方を向いて仕事をしていない。

デスクの方を向いて書いているのです。」

 

「デスク」とは、報道機関の役職者のこと。記事を載せるかどうかを判断する上役です。記者が「現場作業員」とすれば、デスクはワンランク上の「中間管理職」といったところ。

記者がどれだけ良いネタを書いても、デスクがNOと言えば駄目。没記事になります。その為、記者は「デスクが気に入りそうな記事を書く」という方向に流れがち。

結果として、仲間内ではウケる記事だけど、一般的には批判を喰らう駄目記事になった…という事に。

私の聞いた「論説委員さんの言葉」は、そういう意味で仰ったものだと理解しています。

 

報道機関は組織であり、大半は営利目的の企業。

現場作業員の判断より、上層部の判断の方が大事。それは仕方ない事なのかもしれません。

しかし、組織の理屈ばかりだと、今回の記者会見で感じた違和感が無くなりませんし、いつまでも「マスゴミ」とバカにされ続けます。

 

同じ様な事は、ずっと以前から言われています。災害報道では特に多い。

「報道関係者が、地震被災地で、被災者の並ぶガソリン給油列に割り込む」

「不祥事が起き、SNSで騒がれても沈黙。他報道機関が、SNSの騒ぎを記事として取り上げてから、形ばかりの謝罪コメントを出す」

「不祥事を起こした報道機関の系列会社の人間が、無関係の者を装って擁護する。後でバレて炎上」

などなど。これらは、ほんの一例です。

 

嘘記事も無くならないし、報道機関の信頼はどんどん落ちています。「新聞離れ」とか「テレビ離れ」という言葉の裏には、そういった不信感があります。

 

離れたのではなく、見捨てられた部分が大きいのでは?

 

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報道機関は、無くてはならないもの。

ネットが発達した昨今、「報道機関は不必要」と言う方もチラホラいます。

しかし、ネットニュースの元を辿れば、最終的には報道機関に至ります。

報道機関なしでは、ネットニュースやブログも壊滅。

 

他方、報道機関の立場が、年々弱くなっているのも事実。

原因はネットですね。特にSNSやブログ。「誤報や不祥事があった」という事は高速拡散され、いつまでも記録に残り、検索すれば誰でも見つけられます。

やらかした側が「ダンマリ」で通せば、どんどん立場が悪くなる一方。

不祥事に対するネット上の批判は、売り上げに響くレベルにまで強くなりました。無視はできません。

 

かといって、報道機関の方に「一般人ウケする記事だけを書け」と言うのはおかしい。

願わくは、「記事にツッコミが来たら、執筆の意図を堂々と説明できる」という姿勢で仕事をして頂きたい。

意図が分かれば、誤解が解ける事は多いもの。(納得して貰えるかどうかは別問題ですが)

 

「発行部数や視聴率を上げたかった」という理由で、ただ目立つだけの粗悪記事を製作すれば、容赦なく叩かれます。

報道機関が提供する品物は「情報」です。粗悪な品物を、一時の勢いだけで売りまくっても、後でリコール騒ぎになります。その時の損害は莫大。

目先の数より、品質が大事。