makaran宝箱

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上級国民は、逮捕されない?

昨今、ネットで急上昇しているワードに、「上級国民」というものがあります。

 

この「上級国民」という言葉。いわゆるネットスラング(真面目・厳粛な場には相応しくない、ネット上の砕けた言い方。俗語)です。

言われ始めたのは何年も前からで、昨日今日の話ではありません。

しかし、とある交通事故を切っ掛けに、爆発的に広まった模様です。

 

www.fnn.jp(2019/4/26)

 

2019年4月19日に、東京の池袋で、悲惨な交通事故が発生しました。

80代の男性が、乗用車を運転中に暴走。その暴走車に轢かれた、3歳の女の子と母親が死亡。その他にも、複数の重軽傷者を出した大事故です。

 

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(イメージ画像 http://www.ashinari.com/2008/08/20-006803.php

 

犯人(あえてこう書きます)が高齢者。いつもの「高齢者の運転は危険」という論調に流れるかと思いきや…。

犯人の経歴に「元官僚」「勲章受賞者」「大企業や組織の役員」等の肩書きがある事が判明。

 

「そんな経歴があるなら、貯蓄があるだろう。タクシーを使うべき」「それだけ立派な経歴を持つ人なら、高齢運転が危険という論調も知ってるはずだ」という反応がネットで噴出。

加えて、当初の報道では犯人が匿名であり、なおかつ逮捕されないという話が出てきます。

「エリートだから、人を轢き殺しても特別扱いで、逮捕されないのか?」「忖度か?」という疑問が、犯人・警察・報道機関にぶつけられました。

その流れで「上級国民」の露出が急上昇。

 

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この騒動。確かに、違和感はあります。

「交通事故の現行犯は、すぐに逮捕されるものだ」という光景が、日常茶飯事だと思えるからです。

 

しかし、個々の事情によっては、対応が変わる事があります。上級とか一般とかの区別ではなく、もっと別の理由で。

 

www.nishinippon.co.jp(2019/5/3)

 

上記記事には、今回の交通事故に関する誤解について、分かりやすい説明文が掲載されています。

ザックリ述べると…


・報道には、逮捕後は「容疑者」、逮捕前は敬称や肩書を付けるという明確なルールがある。事故を起こした犯人は、逮捕されていないので、容疑者とは呼べない。

・そもそも、逮捕は「懲罰」ではない。目的は「証拠保全」と「逃亡阻止」である。

・逮捕は、「犯罪を疑うに足りる相当な理由がある」場合で、なおかつ「逃亡や証拠隠滅の恐れがある」場合でなければ、できない。

・事故を起こした犯人は高齢者。しかも負傷して入院中。逃げる可能性は低いと思われるし、治療が先である。

 

…こんな感じ。

要は、法律や先例に沿って動いている訳です。その辺りの事は、「刑事訴訟法」という法律に規定されています。

逮捕についての記述は、第199条~212条近辺。

http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=323AC0000000131_20170713&openerCode=1#699

 

仮に、怪我した87歳犯人を逮捕し、留置所に連れて行ったとしましょう。

もし留置所で具合が悪くなり、運悪く死亡したとなれば、警察が責任を問われます。

「犯人を殺したのは警察」という批判を喰らいますし、刑事手続きを潰す事にもなります。慎重に動いて当然。

 

…とは言うものの、警察も手は打っているでしょう。上記記事には書いてありませんが、見張りの警察官は置いているハズです。「逃げる可能性が低い」というだけで、逃げないと断言できないので。

 

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あの悲惨な事故から、1ヶ月が経過しようとしています。

犯人が入院してから、犯人取調べに関する報道が殆どありません。

そんな折、犯人の車に轢かれて死亡した母子の遺族が、会見を開きました。

 

www.youtube.com(ANNnewsCH 2019/4/25配信)

 

何も悪い事していないのに、突然命を奪われた母子。

絶望の中で、必死に想いを述べられた遺族。

見ているだけで辛い。

 

法律は、世の道理を保つ為のもの。

今回の事件で示される道理とは、どういったものなのでしょうか。

少なくとも、気丈に振舞われている遺族や、巻き込まれて怪我した被害者が救われるものでなければおかしい。

 

取調べ・起訴の可否・裁判の結果などは、まだまだこれからの話です。

今、我々ができる事は、「ウヤムヤのままで終わらせない」という思いで、ニュースを見ること。

モミ消されたり、忘れ去られない様に、発信すること。

 

そして、救いのある結末を期待すること。