makaran宝箱

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理屈をつけても、結局「通り魔」と同じ

本日は、とある本の紹介を。

ノンフィクションです。

 

題名は『老人喰い 高齢者を狙う詐欺の正体』です。

ちょっと怖い題名ですね。

 

(著:鈴木大介 ちくま新書

 

題名や帯封の雰囲気から分かりますが、この本は振り込め詐欺」などの特殊詐欺について書かれたものです。

主には、加害者側の視点で語られています。

 

なぜ、老人を騙すのか?

自分の行為が犯罪だと分かっているのか?

悪いと思っていないのか?

警察に逮捕され、刑務所に入る事もあるのに、怖くないのか?

…等々、詐欺の舞台裏に関する記述が中心。

 

この本は、ノンフィクションなのですが…。

ノンフィクションにありがちな「情報の列挙だけ」「無味乾燥な分析ばかり」ではありません。状況描写が凄くリアル。まるで小説を読んでいるかの様な雰囲気になり、一気に最後まで読めてしまいます。

かなり読み応えのある本です。

 

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この『老人喰い 高齢者を狙う詐欺の正体』の刊行日は、「2015年2月4日」となっています。今から4年前。取材・執筆時間を考えると、記述内容の多くは「2015年より前の出来事」になりますね。

しかし、その内容の生々しさは、現在にも通じるものがあります。

 

その証拠…と言うのは語弊があるかもしれませんが、つい先日、とあるニュースが流れました。

それは、「海外で、日本人の特殊詐欺グループが逮捕された」というもの。

 

www.fnn.jp(2019年4月4日)

 

上記リンク先の内容を見ましたが、詐欺の手口が、『老人喰い 高齢者を狙う詐欺の正体』に書かれた内容に酷似しています。細部は違えど、骨子はほぼ同じ。

『老人喰い』の筆者である「鈴木大介」氏の取材が、かなりシッカリしたものであった事が窺えます。鈴木氏の得たデータは、「4年程度で使用不能になるもの」では無かった様子。

恐らくは、今後も同様の手口が無くならないでしょう。

 

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「この本は、加害者側の視点で書かれた」というのは、先述のとおり。

詐欺組織は、典型的なブラック企業であり、裏に反社会勢力の影がチラつく中で動いています。一歩間違えば、自らの身が危ない。それでも、彼らが詐欺を続ける理由は何か?

そういった「詐欺を続ける動機」について、『老人喰い』の中で詳細に語られています。

 

その内容は、大きく分けて2つ。

「金銭的な利得」「詐欺ではあるが、悪では無い」という義賊的な大義名分です。

金銭については、説明の必要はありませんね。問題は後者。

 

この本の「はじめに(前書き)」にもありますが、詐欺をする連中は、こう考えています。

 

「特殊詐欺が起こる原因は、狙われる老人側にある」

「原因は老人側にあるから、詐欺が悪いとは言えない」

 

真面目な顔してこう書かれたら、「何それ?」と驚き、怒る方もいらっしゃると思います。しかし、『老人喰い』の中で、なぜそういう考えに至るのかについて、細かく述べられています。

 

その部分を読むと、人によっては「一筋縄ではいかない事情もあるんだな」と思ってしまうかも知れません。それぐらい巧妙な心理操作(マインドコントロール)を仕掛けてくるのが、詐欺グループの主犯格なのです。

老人を騙す前に、自分の手下の心を操り、犯罪者へと仕立てています。その手口がまた巧妙。

 

「もし自分が、同じ状況に追い込まれたら、洗脳されてしまうかもしれない」

そういう危機感を抱いてしまうレベルの、怖い話です。

 

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これ以上の詳細は、『老人喰い』のネタバレになってしまうので書きませんが…。

最後に1点だけ、突っ込みと言うか反論と言うか、筆者の意見を述べさせて頂きます。

 

詐欺グループ側は、上記の様に「老人に原因がある」という洗脳方法をとっています。

しかし、「老人が悪い」と言ってるのに、探しているのは「騙しやすい老人」であって、「悪い老人」かどうかは考えていません。

それっぽい大義名分を並べても、結局は金が欲しいだけ。

 

これは、大量殺傷をした通り魔の決まり文句「とにかく殺したかった。誰でもよかった」と同じに見えます。

通り魔は「誰でもよかった」と言う割に、狙うのは女性・子供・老人といった肉体的に弱い者ばかり。屈強な軍人やプロ格闘家を狙った話は聞きません。

 なんだかんだ理屈つけても、特殊詐欺は「義賊」ではなく、「通り魔」と同じ。

『老人喰い』を読んで、そう思いました。

 

 

 

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