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ネットは完全匿名ではない。悪質行為者の素性は暴かれる。それに加担した者も。

フィギュアスケート羽生結弦(はにゅう ゆづる)」選手。

世界トップクラスの有名選手です。冬季五輪で金メダルを獲得した実績もある、物凄い選手。

 

そんな羽生選手に絡むネタで、以下の記事を見つけました。

残念ながら、歓迎できない内容ですが…。

 

www.j-cast.com(2019/4/6)

 

上記記事の内容を簡単にまとめると、以下の様なものになります。

 

・ネット上に、「こういう文章を書いて欲しい」という求人広告があった。その内容は羽生結弦選手をボロカスに書き、別選手を褒めろ」というもの。

・募集側は、記事を書く際に条件を出している。それは、見出しや本文に「キモすぎ」「嫌い」「ナルシスト」等の特定ワードを組み込むこと。

・募集している者は、複数のサイトを運営しているらしい。過去の募集実績は2500件以上。「芸能人に関する記事」の執筆依頼が多数。

 

・この「羽生選手をボロクソに書け」という作成依頼。報酬が1件につき41円(よんじゅういちえん。誤記じゃありません)

・そんな低価格でも、10件の受注が成立していた。

 

・こういった文章作成案件。羽生選手を標的にしたもの以外にも、有名人に関する依頼が多数存在している。

・文章として成立していれば、どんな内容でもOK。募集側が「〇〇の学歴!大学・高校・中学校はどこ?嫁は〇〇で子供は?」という感じで、記事の見出しを指定して依頼するのが主流。

 ・他にも、「ネット情報だけでなく、自分の意見などオリジナル要素を入れろ」Google検索などからの流入を増やす為、検索数が多い言葉を文章に書きまくれ」等々、条件を追加される事もある。

 

・こういった記事の作成依頼は、「作成案件を掲載するサイト」に集まる。(一種のハローワークみたいなもの)

・この掲載サイトは、問題が多い事で知られている。過去には「人種差別記事を書いてくれ」「特定の政党をボロクソに書いてくれ」という酷い案件が放置された事も。

・掲載サイトの運営側は、不適切案件の存在を知っている。ガイドラインに基づき、依頼内容を監視・処分しているが、全然追いついていない。

・今回の「羽生選手ボロカス記事」についても、運営は把握している。対策を講じると表明したが、具体的な方法はノーコメント。

 

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何か…いろいろ酷いですね。ビックリします。

何にビックリしたかと言えば、「未だにこういう案件が絶滅していない事」ですね。

 

上記の記事作成法は、いわゆる「トレンドブログでよく見るもの。


tenamaka26.hatenablog.com

 

当記事で定義する「トレンドブログ」とは、「とにかく騒いで目立ち、検索上位に出て、閲覧者を増やすことしか考えていないブログサイト」のことです。

「中身が嘘でもパクリでもいいから、Google検索上位に出てPV(閲覧数)を稼げばよい」としか考えていません。目的は、閲覧数増による広告料収入。金儲けの事だけ。

「真面目に情報を集めて分析し、良質な文章を掲載しよう」と考える人々の対極です。

 

「他記事の切り貼りが、全体の80~90%を占める」

「結論の多くが、”マスコミが報道していないから、分かりません”」

あれだけ煽って、最後はそれかよ!…というものが大半。それが粗悪なトレンドブログサイト。

 

f:id:tenamaka26:20190409030636j:plain

(画像はイメージです)

 

トレンドブログで、「引用元がWikipedia」くらいなら、まだ良心的な方です。

悪質なものになると、他記事からのコピーに引用元が書いてありません。自分が書いた文章と偽るトレンドブログ多数。

この行為は、著作権法違反の疑いあり。(立派な犯罪。懲役・罰金の対象)

【参考】著作物を無断で使うと? | 著作権って何? | 著作権Q&A | 公益社団法人著作権情報センター CRIC

 

引用すらせず、デタラメを流す所もあります。名誉毀損業務妨害になる可能性あり。これも立派な犯罪。

 ネットの広告収入なんて微々たるものなのに、よく犯罪行為ができますね。恐ろしい。

 

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ところで…そもそも、「こういう異常な案件が、求人サイトに出る理由」は、一体何なのでしょうか?

 

これには「2つの理由」があると思われます。

「コストダウン」と「違法性回避」です

 

(1)コストダウン

ちゃんとした記事を書こうと思えば、労力や時間がかかります。筆者の場合、少なくとも以下の5工程を通します。

 

1:「何について書こうか?」というネタ探し。

2:ネタが見つかれば、資料集めに入る。新聞なら、スタンスの違う3~4紙の記事を読む。外国の記事を読む事も。

3:資料を読んだ後、文章化する。先ず200~400字程度の短文で全体像を考え、そこに肉付けし、最終的には2000~3000字あたりを目標にまとめる。

4:文章が書きあがったら、必要に応じて「イメージ画像」を選択し、貼り付ける。

5:完成後、校正に回し、誤字脱字や文脈をチェック。必要に応じて手直しをする。

 

この間、どんなに短くても2~3時間。

切り貼りやパクリでない記事を書こうと思えば、普通はこれくらいかかります。内容によっては、数日以上かかる事もしばしば。

 

粗悪なトレンドブログは、とにかく数を打つ事しか考えていませんので、ひとつの記事にコストをかけていられません。その為、外部の下請けに作成を依頼するのです。その下請けを募集するサイトが、先述の「ネットでのハローワーク的サイト」になります。

 

そこで示した価格が適正であればマシなのですが、粗悪運営者の設定単価は激安。先の例では、1件41円です。「1件を10分」という超高速で処理できたとしても、時給換算で250円未満。

「よくこんな価格でやるなあ…」と驚きますが、書く方も儲けようとは思っておらず、趣味の延長とか、ライティングの練習程度に考えている方が大半でしょう。

たまに「儲けよう」と思う方がいるみたいですが、マトモに書けば時間がかかるので、とにかく違法コピペで数をこなす方向に行かざるを得ません。

どちらにしても、記事の質は悪化する一方。

 

 

 (2)違法性回避

先述のとおり、マトモな記事を書こうと思えば、どんなに短くても2~3時間はかかります。そんな労働を、1件につき100円以下でやろうと思う人はいないし、もしやるとすれば「粗悪記事」「パクリ記事」「デタラメ記事」になる可能性が高い。

 

異様な低価格で依頼する側は、そういった「悪質記事の量産スパイラル」を分かった上で求人をかける所が多いと思われます。

なぜなら、もしパクリがバレても「自分はパクれとは言っていない」と誤魔化す事ができるからです。つまり「下請けに全責任を負わす」という、トカゲのシッポ切り。悪質な会社にありがちな光景。

 

こういう悪質依頼者は、記事作成時に条件を出す際、隅っこの方に「この記事によって発生した損害は、記事を書いた作成者が丸被りします」といった文言を混ぜてきます。

後で問題になっても、依頼側は知らんぷり。書いた側だけが責められる場合も。

(そもそもパクリやデタラメは駄目なので、「トカゲのシッポ切り」という表現は…ズレているのかも知れませんが)

 

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悪質依頼者は、記事作成者の足元を見て、無茶を言います。

無茶を言う者の多くが、粗悪サイトの運営者。彼らは匿名性をいいことに、質の悪い記事をバラ撒き続けています。かなり迷惑な存在。

 

しかし、「そんな悪質運営を撲滅する、ひとつのキッカケになるかも?」という動きが出て来ました。

 www.news24.jp(2019/4/8)

 

www.bengo4.com(2019/4/8)

 

上記2記事は、どちらも同じ話を扱っています。

「あるサイトに、根拠の無いデタラメを書かれて被害を受けた」として、掲載した側を相手に裁判が起こった…という話。

 

訴えられたのは、以前から問題の多かった匿名サイトですが、その運営者を特定して訴えるだけでなく、サイト開設に関わった会社も訴えるという点が画期的です。

損害賠償の請求額は、1650万円。

加えて、「この匿名サイトに広告を出していた企業にも、損害賠償を請求する」という事まで考えているそうで。

 

2019年4月8日に提起されたばかりなので、詳細はこれからです。が、注目すべき裁判だと考えます。

 

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上記訴訟と似た流れが、SNSにも起こりつつあります。

 

www.afpbb.com(2019/4/8)

 

上記記事は、イギリスの話ですが…。

ソーシャルメディアSNS)企業の経営陣に、自社運営SNS内の有害コンテンツ(暴力・自殺助長・偽情報拡散・オンライン上のいじめ等)に関し、責任を負わせる仕組みを検討する」とのこと。

 

今までのSNS運営側の主張テンプレ、

「ウチは場所を提供しているだけで、違法な内容を書いたのはユーザーである。だから運営に責任は無い」

というものが、通じなくなるかもしれません。

 

こういう規制は、やりすぎると「言論弾圧」になってしまうので、難しいところ。

しかし、放置もまたNG。

両者のバランスが大事です。

 

言論の自由には、責任が伴います。

「デタラメをばら撒く」「記事をパクる」という行為は、自由ではなく無法。

悪質な者の、早期絶滅を願います。

 

 

 

【参考書籍】『ネコがメディアを支配する ネットニュースに未来はあるのか』(著:奥村倫弘 中公新書ラクレ

 

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