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予言的小説の傑作

本日は、ある小説の紹介をさせて頂きます。

題名は1984年』。単に『1984』とも呼ばれます。作者は「ジョージ・オーウェル」氏。今から70年前に書かれた、SF小説です。

 

(著:ジョージ・オーウェル 訳:新庄哲夫 グーテンベルク21)

 

この作品、フィクションです。

しかし、「未来を思い描いて執筆された、空想作品でしょ?」と笑って流せない、妙なリアルさがあります。

そのリアルさ故、つい2年ほど前に「売り上げが急上昇した」とのニュースが流れました。

その理由として推察されるのは、アメリカ大統領に、トランプが就任したから」

www.cnn.co.jp(2017.01.25)

 

「トランプ氏が大統領になったから、70年前の小説が売れた」

いまいちピンと来ない話ですね。

では…順を追って説明していきます。

 

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この作品は、「1940年代に予測した、1984年の姿」を描いたもの。未来を描くSF小説として扱われていました。

その後、時は流れ…現在は2020年が目前。現実の1984年は、もう随分前の話になってしまいました。

 

現実の1984年に起きた出来事は、

・グリコ森永事件が発生。

・初代Macintoshが発売。

NHK紅白歌合戦の視聴率、78.1%。

チェッカーズ涙のリクエスト」がヒット。

・『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』公開。

などなど。

1984年産まれの方は、今年で35歳。子育ての最中という方も多いでしょう。

本当に、「一昔前」ですね。

 

 

小説『1984年』は、本当の1984年の姿とは重なる部分が少なく、それほど話題になりませんでした。

しかし、現代(2010年代後半)と重なる部分が多く、急に話題性が増した模様です。

 

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小説『1984年』の冒頭をザッと紹介すると、こんな感じです。

 

・物語の舞台は、架空の1984年。核戦争後、世界が3大勢力に分割された…という設定。

・3大勢力のひとつ「オセアニア」では、奇妙な機械があちこちに設置されていた。それは「テレスクリーン」という装置。今で言うところの「壁掛けラジオ」に近いもの。

 ・テレスクリーンには、双方向通信機能がある。「放送局から流れてくる番組を、強制的に流す機能」と、「テレスクリーン周辺の様子をカメラで監視し、情報を集める」という機能。

・テレスクリーン以外にも、街のアチコチに監視装置が設置され、政府が国民を監視し、「思想警察」まで存在するという異様な世界。

・テレスクリーンから流れてくる番組は、政府が進める政策を褒めちぎる内容や、「こんな相手は憎まなければならない」という思想宣伝ばかり。音声を小さくする事はできるが、完全にシャットダウンする事はできないので、国民は視聴を強制されている。

 

・主人公である「ウィンストン・スミス」は、オセアニアに所属する公務員。住居と勤務先は、ロンドン市内にあった。

・日々の生活に疑問を持つスミスは、「日記をつける」という事を考え、密かに実行に移す。

オセアニアでは、日記をつける事は罪になる。最低25年以上の強制労働か、悪くすれば死刑。思想統制を強める政府から、危険視される行為であった。

・日々の出来事を、テレスクリーンに見られない様に、コッソリと記録していくスミス。そんな生活の中で、スミスは一人の女性と出会うのだが…。

 

…こんな感じです。

いわゆる「ディストピア作品」の典型。「ユートピア(理想的社会)」とは正反対の絶望世界の話です。

 

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上記のあらすじは、冒頭部分の要素を書き出したものですが…。

これ、何か現代に通じるものがありませんか?

 

 

1984年』での重要ガジェット「テレスクリーン」。これ、そのまんま「スマートフォンスマホ)」や「パソコン」です。

 

ただ、スマホやパソコンは「嫌ならば、アプリを終了して視聴を止める事が可能」という機能があるので(当たり前ですが)、テレスクリーンの様に「強制的に視聴」とはなりません。

また、テレスクリーンの様に「常にカメラで撮影され、リアルタイムで監視されている」という事にもなりません。まあ、リアル世界では「自ら望んで、ネットのライブ配信をする」という人は存在しますが、それは個人の自由。強制されるものではありません。

 

しかし…見方を少し変えれば、『1984年』と同じ様な要素が見え隠れします。

 

例えば「位置情報」です。スマホでは位置情報を取得するアプリが多く、自分が今どこにいるか、監視されている様なものです。

「ポイントの取得履歴」なんかも同様。どの店に行き、どんなものを買い、時間帯はいつなのか…等をデータとして監視されている様なもの。

 

 デマニュースをSNSで流すとか、都合の悪いニュースを無視して流さないとか、例え流れても「フェイクニュースだ!」と決め付けて揉み消しにかかるとか…。こういったニュースに関する姿勢も、『1984年』で描かれている話と重なります。

フェイクニュース」は、トランブ大統領の口癖みたいなものですね。トランプ氏と記者が揉める光景も、そんなに珍しいものではありません。思想や言論が軽視されている感があります。

 

これは、『1984年』の世界と重なる部分が大きい。

 

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1984年』は、70年前のSF小説です。空想科学小説のハズなのですが、どこか「空想」と斬って捨てる事ができない部分があります。

それゆえ、「予言的作品」とも呼ばれています。

 

「思想・良心の自由」を大事にする地域の人が『1984年』を読んだら、「こんな世界には住みたくない」と、誰もが思うのでしょうが…。

「こんな世界は、これからも永久・絶対に出現しない」とは断言できない、どんよりした不気味さがあります。

 

骨太のSFを楽しみたい方にオススメ。興味のある方は、是非読んでみて下さい。

 

 

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