前回に続き、大人気漫画『キングダム』の話です。
秦(しん)の始皇帝が、いかにして中国統一を果たしたかを描く歴史漫画。
「従来の始皇帝イメージとは、全く違う姿」を描く作品として、高い人気を誇っています。
(↓ちなみに、前回分は下記リンクにて↓)
前回は、題名の通り「漫画をよく知らない方、初心者向けの記事」でした。
今回は、最新刊までコミックスを読んでいて、話の流れも大体分かるという「中級者くらい」を意識した記事になっております。
今回のテーマは、「秦の六大将軍が復活した時、主人公・信はメンバーに入れるのか?」
(注意)先述の通り、当記事は「キングダム中級者以上の方」を対象にした内容になっております。その為、漫画をあまり読んでいない方にとっては、ネタバレ要素が混じっている恐れがあります。その事を注意・ご理解頂いた上で、続きを読んでください。
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まずは、「六大将軍とは何か?」について、振り返ってみましょう。
作品内で、初めて「秦の六大将軍(秦六将)」が語られるのは、コミックス10巻です。
ちなみに、この10巻から「最大の敵のひとり、秦の丞相・呂不韋(りょふい)」が、本格的に登場します。
(丞相とは、現在の日本で言う所の総理大臣と同じか、それよりも上の重職)
「秦の六大将軍(秦六将)」とは、「秦の昭王(しょうおう)」の時代に存在したシステムの事。
昭王は、現在の秦王であり・後の始皇帝である「嬴政(えいせい)」の曾祖父に当たる人。別名を「戦神(いくさがみ)」。ガチガチの武闘派。
「曾祖父」とは「ひいおじいちゃん」の事ですが、つい何年か前まで現役だったという元気な王様。その為、六将制度も最近まで存在していました。
昭王の時代、秦には沢山の将軍がいました。その中でも、特に優れた能力を持ち・王に対する忠誠心が強く・絶対に裏切らないと判断された6人を選んで「秦六将の制度」が作られました。
昭王時代の六将メンバーは、
・王騎(おうき)
・白起(はくき)
・摎(きょう)
・王齕(おうこつ)
・胡傷(こしょう)
・司馬錯(しばさく)
この面々。10巻の時点で現役なのは王騎のみで、六将制度は消えていました。
この六将制度が、秦の軍事力を強力にし、他国を圧倒する要因となります。
キーワードは、「戦争の自由」。
「六将に任命された者は、独自の判断で敵を決め、戦争をしていい」という特権を与えられたのです。
『キングダム』の舞台は、紀元前200年代の中国。無線も電話もありません。早馬や伝書鳩などが通信手段。連絡が届くまで、片道で何日もかかるという事ばかり。「使者が走っている間に、現場の状況が激変する」という事もあり。
国としての意思決定スピードは、物凄く遅い。情報の精度もバラバラで、正確な決定能力にも欠ける。現在に比べ、比較にならないほど未熟な状態でした。
そこで昭王は、「中央に連絡せず、各方面軍司令官の独自判断で、勝手に戦争してもOK」としました。これにより、侵攻のスピードが段違いになります。
その結果、昭王時代の秦は、他国から恐れられる強国となりました。
他方、各自の判断で自由に戦争してOKという事は、反乱も起こしやすいということ。その為、「秦王を絶対に裏切らない」という強い忠誠心が無いと、六将には任命できません。
その制度を復活させてくれと言い出した、獅子身中の虫「呂不韋」の一派。
呂不韋が危ない男だという事は、本人は勿論の事、嬴政を始めとする主人公サイドも認識しています。「秦の重臣でありながら、反体制派のクーデターを放置」「大王である嬴政の暗殺未遂事件」等の行動を起こしており、絶対に油断できない相手。
そんな考えを持つ呂不韋ですから、忠誠もヘッタクレもありません。嬴政サイドとしては、反乱リスクの大きい「六将制度」を許可するなんて…とんでもない話。絶対無理。
そういった経緯で、10巻の段階では「六将制度は棚上げ」となります。
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その後、再び六将制度の話が持ち上がるのは、第41巻です。
(提供:Amazon)(著:原泰久 集英社)
秦が中国を統一する為には、他の6国を平定しなければなりません。
嬴政は、自分の代で統一を完成させようと考えています。
しかし、国力には限りがあり、そうそう長期戦はできません。そこで、侵攻スピードの早い「六将制度」を復活させるプランを策定。新たな6人を選ぼうと計画しています。
新しい六将の候補は、ザッと見ただけで…6人以上います。
コミックス53巻時点の状況を基に、ランク分けを兼ねて名前を挙げると…
・Aクラス【既に「大将軍」に任命済み。大失敗が無ければ、六将入りは確実】
蒙武(もうぶ)、騰(とう)
・Bクラス【Aクラスに次ぐ実力の持ち主。六将入りが濃厚】
桓騎(かんき)、王翦(おうせん)、楊端和(ようたんわ)
・Cクラス【主役級の面々。あと一段階昇進して将軍になれば、六将入りの可能性あり】
信(しん。恐らく「李信」に改名する筈)、王賁(おうほん)、蒙恬(もうてん)、
羌瘣(きょうかい)
・Dクラス【高位の者が多いが、露出が少ないので地味。六将入りは疑問】
壁(へき)、騰軍・王翦軍など各軍の配下武将達
この中から、選ばれるのは6人。A~Cクラスだけで、9人いますね。少なくとも3人は入れない事になります。
Dクラスは大穴という事で、とりあえず候補から外すとして…。誰が六将になるのか、推測してみましょう。
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まず、Aクラス。
蒙武と騰は、既に大将軍。裏切りのニオイも無く、六将入りは確実でしょう。
次に、Cクラスを見てみます。
主人公の信は、将として成長著しいし、主人公なので…六将入りするでしょう。
王賁と蒙恬も、六将入りするでしょう。準主役キャラで、露出も多いですし。特に蒙恬は、現段階で「将軍と同格」にまで出世していますので、名実共に十分かと。
問題は羌瘣。信が率いる「飛信隊」の副長ですが、本人はあくまでサポート役に徹する素振りがあり、部隊長ランク的にも信より2ランク下。六将入りの可能性は低いですね。
最後にBランク。ここが問題。
王翦は、恐らく六将入りします。現在、秦国史上最大級の軍を率いていますし、一時期は色濃くあった「謀反の気」が、随分静かになった感があります。
次に楊端和。彼女は「山界の王」で、独立国の女王様です。秦国の家臣ではなく、同盟相手。その為、「秦国から戦争を許される」という立場ではありません。あくまで協力国の君主。よって、六将入りの可能性は低い。
最後に桓騎。彼は脱落の可能性が非常に高い。秦国にも居場所が無くなると考えます。よって六将入りは無い。
よって、新生・秦六将は、
・蒙武
・騰
・王翦
・信(李信)
・王賁
・蒙恬
このラインが最も固いと思われます。
ところで、「桓騎の脱落」という文言を書きましたが…。
なぜそう言えるのか、気になりませんか?
これには、一定の根拠があります。詳細は、次回記事にて。
-----------(記事了)-------------