makaran宝箱

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筆と口には、メッキが効かない

本日は、過去の失敗の話をば。

やはり、人間には向き・不向きがあります。「出来れば、気の進まない事はやるモンじゃない」と痛感した話です。

 

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3年くらい前の話。

当時の私は、いくつかのサイトで連載を持っていました。

安いながらも原稿料を貰って書いてましたので、一応はプロになると思います。下手クソなのが玉に瑕。

自分からネタを提案する事もあり、編集部から依頼される事もあり、そこそこ忙しい日々を送っていました。

 

ある日の事。

お世話になっているサイトのひとつから、執筆依頼が来ました。

テーマは「アイドルグループ」について。

当時、騒ぎを起こしていたアイドルグループがあり、それを取り上げた時事ネタ記事を載せたい…という編集部の意向で、私に話が舞い込んできた模様。

 

さて、これは困ったぞ…と、頭を抱える私。

なぜなら、生まれてから一度も、アイドルに夢中になった事が無いからです。

ジャニーズやAKB系列グループを始め、各種アイドルにハマった経験ゼロ。

 

「このグループの、この歌は好き」と思う事はあっても、特定のメンバーに対してキャーキャー言うとか、顔写真がプリントされたグッズを大人買いとか、そういう事は一切無し。

ガチの方に比べて、熱量が違い過ぎます。

 

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そんな私が、アイドルの記事…。正直、ちゃんと書く自信はゼロ。

しかし、「先方から執筆依頼が来る」という事は、ご指名を頂いたということ。ありがたい話で、そう簡単に断れません。

 

加えて、「時事ネタをテーマにした記事」ですので、スピードが命。そんなに時間をかけられません。

 

更に言えば、サイトの中に同テーマの記事が多数あっても、意味が薄いもの。

同じ事件を扱う記事は、せいぜい2~3個が関の山。そうなると、執筆者が限られてくるわけです。

その上で声をかけて頂いたという事は…ちょっと重みがあります。

 

私は、少し考えた後、編集部に対して「分かりました。書きましょう」と返事を出しました。

 

掲載先は「速報性重視のサイト」です。時間との戦いになります。

特に私の場合は、アイドルというものに関心が薄い部類の人です。普段のニュースで聞くレベルの一般的知識は持っていましたが、それだけでは不足。ちゃんとした情報収集から始めなければなりません。

これは大変。その記事にかかりきりになって、当日は他の事が出来ませんでした。

 

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ところで、ここで疑問が湧きませんか?

「アイドルに疎い執筆者に、どうして依頼が来たのか?」

「アイドルに詳しい人は他にもいるだろうに。なぜmakaranなのか?」

 

そうなんです。ごもっともな指摘なのです。

確かに、時事ネタ記事はちょくちょく書いていたのですが、アイドルの魅力を伝える記事は、全く書いた事が無い私。

主に書く記事は、都市伝説・ミステリー・政治経済・法律・国際情勢…などなど。たまにネット炎上の分析記事も書いていました。

基本的には「硬いテーマ」が多かった私。そんな事は、当然ながら編集部もご存知のハズ。

そんな私に指名が来た理由は、「アイドルが起こした騒ぎの内容」にありました。

 

 

多分、覚えていらっしゃる方も多いでしょう。

某アイドルが、「国家社会主義ドイツ労働者党」のコスプレ姿でステージに立ち、大炎上した話を。

国家社会主義ドイツ労働者党」とは、いわゆるナチスの事です。

(「忘れてたのに!」「思い出させるな!」と怒る方もいらっしゃるでしょう。従って、グループの実名は控えます。某アイドルグループ…という事で)

 

 

ナチス」は、第二次大戦時のドイツを率いた組織。

ヒトラー総統をトップにした政治集団です。

ユダヤ人の虐殺など、凄惨な話の多い集団。

 

そのナチス軍服とそっくりなコスプレをして、ステージに立った某アイドルグループがいて、各方面から批判が巻き起こりました。

その流れから、私に執筆依頼が来たと思います。

この話についての記事執筆は、歴史や政治に興味を持っていなければ困難。「アイドルが好き」というだけでは、炎上の背景を書けません。

 

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しかし…。私に声がかかると、今度は別の問題が。

 

私は、歴史や政治に興味があり、よく記事を書いていました。今でも同じです。

そうなると、どうしても「アイドルグループに批判的な記事」を書かざるを得ないのです。

 

ナチスの嫌われっぷりは、欧米では凄いものがあります。

国によっては、ナチス風の格好や仕草をするだけで、逮捕される事もあり。

www.afpbb.com

ドイツ・ベルリン警察によると、現地時間8月5日午前、36歳と49歳の中国籍男性の2人が、ベルリン(Berlin)のドイツ連邦議会議事堂(Reichstag)で、「ナチス・ドイツ(Nazi)式」敬礼のポーズで互いの写真を撮るなどしていたため、警察に連行され尋問を受けた。その後、それぞれ500ユーロ(約6万4000円)の保釈金を支払って保釈されたが、ドイツ憲法に違反する組織のシンボルを使用した疑いで刑事告発を受ける可能性は、依然として拭いきれないとしている。

ドイツ『刑法典』の第86a条の規定により、ナチスの旗、記章、制服、スローガンや敬礼などを使用した者は、最高3年の懲役また罰金が科される。

 

上記引用は、2017年8月11日付けのAFP記事より。つい最近の話です。

キツイ扱いですね。

 

そんな扱いを受けるナチスの格好で、大衆の前に出てきた某アイドルグループ。

ネット社会である現在、情報は瞬く間に世界へと拡散されます。

某アイドルグループと、その運営者がどんな非難を受けたのか、想像に難くありません。

 

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こういう背景があることを記事にして、編集部に送付しました。

すると、編集部から返事が。

「何とか、アイドルを擁護する論調に出来ませんか?」

 

さて、困りました。

上記の様に、「激しく怒る人が、世界にはいる」という事情をよく知っている私。

その状態でアイドルを擁護しろとは…。

正直、難しい話です。

 

幸い、擁護できる余地が全く無かったわけじゃありません。

コスプレをした本人さんたちや、衣装を用意した運営側には、「ナチスの格好は危険」という認識が無かった…と推察されるからです。

単に「カッコイイから」で選んだんでしょう。

(まあ、軍服というものは「意図的に、格好良く作られているもの」なんですけどね。イメージ戦略です。)

 

そうなると、今度は「考えが足りない」という批判になってしまい、編集部から再度の修正依頼が。

苦しみながら修正したところ、それもNG。

結局、編集部の方で大きく手直しされ、掲載という形に。私の記述は、ほぼ没になったようなもの。

 

ただ、私の中に「編集部に対しての怒り」は…無かったですね。

「カネ貰ってるから、断れない」ではなく、「書けないと早めに判断し、断る」という行動に出るべきでした。

それが出来なかった自分にも、かなりの落ち度があります。反省しないと。

 

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人間は、心にも無い事は言えません。

同じく、心にも無い事を文章には出来ません。

上手に表面をメッキして誤魔化しても、すぐに下地が出てきます。

 

心に無い事を文章にしても、お粗末な仕上がりになるだけ。それを痛感しました。

今となっては、良い教訓です。